夜中にサントリーニ行きのマイルを計算したら、意外と現実だった

妄想旅行

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夜中の1時に、なぜかサントリーニ行きのマイルを計算していた。

きっかけは些細なことで、SNSで流れてきた一枚の写真だった。青いドームと白い壁、その向こうに沈む夕日。見た瞬間に「あ、ここに行きたい」と思った。そういう場所って、理屈じゃなくて体が先に反応する。

行けるかどうかより先に、指が動いていた。

遠い、と思っていたのに

最初に調べたのは、そもそもどこにあるのかということだった。

サントリーニ島はギリシャ、エーゲ海に浮かぶ島だ。3600年前の火山噴火でできたカルデラ地形が、あの独特の景色を生んでいる。白い建物と青いドームは景観保護のルールによるもので、街全体がひとつの美術作品のようになっている——と知ったとき、「合成写真みたい」という感想が少し解けた気がした。自然と人間のルールが重なって、あの景色ができている。

日本から直行便はない。ヨーロッパの主要都市を経由して、まずアテネへ。そこからさらに飛行機で約20分、またはフェリーで6時間半かけてサントリーニへ渡る。乗り継ぎや待ち時間を含めると、ドアtoドアで20時間以上かかる計算になる。

遠い。でも、調べれば調べるほど、なぜか現実の距離に感じてきた。

マイルで行けるのか、本気で計算してみた

普通に航空券を買うと、エコノミーでも往復30〜40万円以上することがわかった。「やっぱり無理か」と思いかけたところで、マイルで行けないか計算しはじめた。

ANAのマイルを使ってヨーロッパへ行く場合、スターアライアンス加盟の航空会社を組み合わせてアテネまで行くことができる。エコノミーで往復おおよそ4万〜4万5千マイル前後。JALの場合はカタール航空経由でアテネまで行けて、往復5万5千マイルほどが目安になる。アテネからサントリーニへの区間は別途手配が必要になるが、エーゲ航空の現地チケットは安い時期なら数千円から見つかることもある。

数字を並べているうちに、「あれ、これ貯めたことある量かも」と思った。

マイルって、日常のどこかに落ちている

マイルというと飛行機に乗って貯めるものというイメージがあったけれど、実際は違う。ポイントサイトを経由してサービスに申し込んだり、クレジットカードの支払いをマイルに換算したりすることで、飛ばなくても貯まっていく。

このブログでも以前、モッピーとハビタスの違いについて書いたことがある。あのとき「マイルって遠い話だな」と思いながら書いていたけれど、今夜になって急に点と点がつながった気がした。日常の中にある小さな積み重ねが、サントリーニまでの距離を縮めていくかもしれない。

洞窟ホテルって、何だ

航空券の次に調べたのが、宿のことだった。

サントリーニには「カーブハウス」と呼ばれる宿泊施設がある。カルデラの崖をくり抜いて作った洞窟のような構造で、白い壁の中に青いタイルのプール、岩肌がそのまま壁になった部屋——写真を見るたびに「これは本当に存在するのか」と思う。素材が岩だから、夏でも室内は涼しい。朝起きたら目の前にカルデラが広がっている。

窓の外に海と空しかない。

実は5年以上前、地中海クルーズで似た朝を経験したことがある。スペインからフランス、イタリア、マルタへ。あとから調べたら、あのとき渡っていたのはティレニア海やリグリア海——地中海という大きな海の中に、いくつもの海が入れ子になっていることを、船の上で初めて意識した。カーテンを開けたら水平線しかなかった朝のこと、水平線から上る太陽、今でも覚えている。ただそれだけのことなのに、静止した。

サントリーニはエーゲ海に浮かぶ島で、それもまた地中海の一部だ。あのときと同じ海の続きに、あの青いドームがある。そう思うと、少し近くなった気がした。

今度は揺れない部屋で。崖の上の洞窟から、動かない海を、自分のペースで見ていたい。

値段は覚悟が必要だとわかった。でも、それが理由でここに泊まることを諦める気には、なぜかなれなかった。

イアにするか、フィラにするか

サントリーニの中にも、エリアがある。よく写真で見る青いドームはイア(Oia)という北端の村で、島の中心地はフィラ(Fira)。この2つのどちらに拠点を置くかで、旅の空気がまるで変わるらしい。

イアは静かで、路地が細く、夕日を見に来た人たちがゆっくり時間を過ごす場所だ。対してフィラはもう少し賑やかで、レストランやショップが多く、島の生活感に近い。

どちらにするか——と考えたとき、どちらも捨てられなかった。だから今の妄想は、フィラで1泊してから、イアのカーブハウスに移動する2拠点案になっている。予算は倍になるけれど、旅の解像度も倍になる気がして、頭の中ではすでにそのプランで動いている。

夕日が沈む方角に、部屋を取りたい

サントリーニの夕日は世界一と言われることがある。大げさに聞こえるけれど、調べれば調べるほど、その理由がわかってくる。

カルデラの縁に建ち並ぶ白い街が、沈む太陽の光を受けてオレンジに染まる。その光景を見るために、世界中から人が集まる。イアの展望スポットには、日没の1時間前から場所取りが始まるらしい。

だから、あえてそこには行かないかもしれない。カルデラを向いた部屋を取って、人混みの中ではなく、静かな窓から夕日を見ていたい。観光客が展望台に向かうあいだ、自分だけがそこにいる——そんな時間を想像すると、胸のあたりが少し動く。

アテネまでの航空券をまず調べてみる。

朝日は、島の反対側にある

夕日ばかり調べていて、気づいたことがある。

サントリーニのカルデラは西側を向いている。だから夕日がきれいに見える。では朝日はどこで見るのか——と思って調べたら、島の東側に出なければならないことがわかった。カマリやペリッサといった黒い砂のビーチがある側だ。

観光客のほとんどはカルデラ側に集まる。東側のビーチで朝日を見る人は、比べると少ない。そのことを知ったとき、なぜか「そっちがいい」と思った。

誰もいないビーチで、海から上がってくる朝日を見る。黒い砂の上に座って、コーヒーも持たずにただ光が増えていくのを待つ。観光地の中にいながら、観光地らしくない時間を過ごす——そういう瞬間を探している自分がいることに、調べながら気がついた。

夕日で有名な島に来て、朝日を見て帰る。それでいい気がする。

いつ行くか、答えが出なかった

季節も調べた。

一般的には5〜6月か9〜10月がいいと言われている。夏のピーク(7〜8月)は観光客が最も多く、物価も上がる。でも夏にしかない熱狂もある、らしい。春や秋は人が少なくて動きやすいけれど、風が強い日もあって、海の色がくすむこともあるらしい。

調べているうちに、もうひとつ気づいたことがあった。

あの写真——青いドームと夕日が重なる構図——が撮れるのは、実は季節が限られるということだ。夕日が沈む方角は季節によって変わる。サントリーニでドームと夕日が一番きれいに重なるのは、太陽が北寄りに沈む5月から9月。特に6〜8月が、光の角度的に一番合うらしい。

最初にSNSで見て「行きたい」と思ったあの写真は、夏にしか撮れない構図だったということになる。

ただ、夏は観光客が最も多い季節でもある。イアの展望スポットは日没1時間前から場所取りが始まり、日没の瞬間には身動きが取れないほど混むらしい。あの写真を撮った誰かは、その人混みの中にいたのかもしれない。

5月か9月なら、人は少ない。でも夕日とドームの構図は、少し難しくなる。どちらを選ぶか——と考えたとき、また答えが出なかった。

どの季節にも、その季節にしかないものがある。だから正解を探すより、行ける時期に行くことの方が大事なのかもしれない、とぼんやり思いはじめている。

「行ける時期に行く」——それが言えるようになるために、マイルを貯めている。

妄想は、解像度が上がるほど現実に近づく

計算を始めたのは夜中の1時で、気づいたら3時になっていた。

行けるかどうかは、まだわからない。でも「行けるかもしれない」という感覚は、今夜はじめて生まれた。マイルの数字が、漠然とした憧れを少し具体的なものに変えてくれた気がする。洞窟ホテルの構造も、イアとフィラの違いも、朝日が島の反対側にあることも、青いドームの構図が夏にしか撮れないことも、全部今夜はじめて知ったことだ。

妄想は、調べるほど形を持ちはじめる。輪郭がはっきりするほど、いつか本当に行く日が近くなるような——そんな気がして、もう少しだけ調べ続けることにした。

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※本記事は筆者の妄想旅行記です。掲載しているマイル数・アクセス情報は執筆時点の目安です。旅行の際は必ず各社の最新情報をご確認ください。

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