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急遽、友達とランチをすることになった。
お互いの家からちょうど中間くらいの駅で、普段ほとんど降りることのない場所だったため、当日になってお店を探し回るのも嫌だと思い、自然食を売りにしている店を予約しておいた。食べログの評価は3.5ほど。予約確認のメールも届き、これで当日はゆっくり食事を楽しめるだろうと思っていた。
ところが、その最初の違和感は、店に入ってすぐにやってきた。
最初の違和感は、席の案内だった
予約時間ちょうどに店へ入り、名前を告げると、「窓から2つ目の青い椅子の席です」と言われた。
一瞬、意味を理解するまでに少し間があった。
「窓から2つ目の青い椅子」。
席まで案内されるのではなく、目印を頼りに自分たちで探して座るらしい。
もちろん、そういうスタイルの店があってもいい。ただ、私はファミリーレストランでさえ、通常はスタッフが席まで案内してくれるものだと思っていたので、予約をしている店で「自分で席を探してください」という形だったことに、まず少し驚いた。
友達と一緒に店内を見渡しながら、「あそこかな」と青い椅子を探して席についた。
この時点では、まだ「ちょっと変わった店だな」くらいだったと思う。
けれど、その後も小さな違和感が続いた。
普段カフェに入ると、席まで案内され、その際にお水とおしぼりが置かれ、「ご注文はこちらからお願いします」と、メニューやモバイルオーダーの説明が一言ある。私はそれを、特別なサービスというより、ごく普通の流れだと思っていた。
ところがこの店では、席についても特に説明はなかった。
テーブルを見るとQRコードが置かれていて、そこで初めて「モバイルオーダーなんだ」と気づいた。
QRコードを読み込み、友達と注文を進める。モバイルオーダーそのものには慣れているので、そのこと自体は問題ではない。ただ、紙のメニューには「コーヒー(ホット/アイス)」と書かれているのに、スマートフォンの画面にはその項目が見当たらなかった。
二人で画面をスクロールしながら探していると、友達が「これじゃない?」と指したのが「本日のコーヒー」という項目だった。
でも、紙のメニューにはそんな名前はない。
同じものなのか、それとも別の飲み物なのか、こちらには判断できない。
さらに、同じメイン料理を頼んで飲み物だけ別にしたいのに、一度の操作では別々の飲み物を選べず、もう一度最初から同じ注文操作をする必要があった。しかも最後の確認画面には、選んだ飲み物の内容が表示されない。
「これ、ちゃんと入ってるのかな」
そんな空気になって、友達とまた顔を見合わせた。
お水がないことに、注文を終えてから気づいた
注文を済ませ、少し落ち着いたところで、今度はお水がないことに気づいた。
「そういえば、お水ないね」
最初は、あとからスタッフが持ってくるのかと思った。
ところが周囲を見てみると、テーブルに水のグラスがある人もいれば、ない人もいる。
どういう仕組みなのだろうと思い、さらに店内を見渡してみると、少し離れたところに水を入れるピッチャーらしきものとコップが置かれているのが見えた。
私は飲食店の経験があるので、それを見て「あれがお水のセルフサービスなんだ」とわかったけれど、そうでなければ、あれを見ただけで「ここから自分で水を取るんだ」と気づかない人もいるかもしれない。
実際、入店時には何の説明もなかった。
「お水はセルフサービスです」
たったその一言があれば済む話だった。
しかも、私たちが行ったのはランチタイムのピークを少し外した時間だったからか、ピッチャーの水も十分には補充されていなかったので水を取りに行っても、ほとんど残っておらず、その場で飲めない人もいた。
セルフサービス自体が悪いわけではない。
ただ、セルフにするなら、きちんと案内すること。そして、必要なものが切れないように補充しておくこと。
そこまで含めて初めて「セルフサービス」なのではないか、と私は思った。
料理が運ばれてきて、また小さな違和感が増えた
しばらくすると、ようやく料理が運ばれてきた。スタッフが何か説明しながら皿を置いていったのだけれど、声が小さくて内容まではよく聞き取れない。せっかく料理の説明をしてくれているのだと思うと、聞き返すほどでもないかと、そのまま受け取ることにした。
注文していたのは、本日の魚の香草パン粉焼き。皿にはレモンが添えられていて、私は特に考えることもなく手で絞ったのだが、そこで初めて「あれ、おしぼりがない」と気づいた。
魚料理に手で絞るレモンが添えられているなら、自然とおしぼりも用意されているものだと私は思っていた。もちろん、最近はおしぼりを出さない店もあるし、それ自体が悪いわけではない。ただ、そうであれば紙ナプキンをわかりやすく置くなど、何か代わりになるものがあってもいいように思う。
結局、指についたレモン果汁をそのままにしておくわけにもいかず、私は席を立ってスタッフのいる場所まで行き、おしぼりをお願いした。
「席にお持ちします」と言われたので、料理の前に戻って待っていると、しばらくしておしぼりが運ばれてきた。
ただ、そのときも特に言葉はなかった。
私は何も言わなかったし、友達も何も言わなかったけれど、また自然と目が合った。ここまで来ると、お互いに同じことを感じているのは、言葉にしなくてもわかっていた。
決定的だったのは、食後の飲み物だった
食事を終えるころ、スタッフがお皿を下げながら「お飲み物をお持ちしてよろしいでしょうか?」と聞いてきたので、「はい、お願いします」と答えた。
ところが、しばらくして運ばれてきたのはアイスティーが2つだった。
「あの、アイスティーは1つで、もう1つはコーヒーなんですが」
そう伝えると、スタッフから返ってきたのは、「さっき確認したら、アイスティーだとおっしゃっていたので」という言葉だった。
その瞬間、頭の中に「いつ確認された?」という疑問が浮かんだ。友達を見ると、彼女も同じような表情をしている。少なくとも私たちには、飲み物について改めて確認された記憶はなかった。
そこで「確認されていないと思いますが」と伝えると、スタッフは何も言わず、そのままその場を離れていった。
もちろん、注文を間違えることはある。忙しい時間帯なら、なおさらだと思う。でも、もしそこで「失礼しました。確認してきます」と一言あれば、たぶん私の受け取り方はまったく違っていた。
サービス業では、ミスそのものより、そのあとどう対応するかの方が印象に残ることがある。今回も、まさにそうだった。
その後、無事にアイスコーヒーではなくホットコーヒーが運ばれてきた。少なくとも、こちらが最初からアイスティーを2つ注文していたわけではなかったことは、それでわかった。
そこまでの小さな違和感がいくつも積み重なっていたこともあり、その瞬間、私は初めてはっきりと腹が立った。
サービス業をしている自分に、返ってきた
食事の途中、友達が皿を見ながら、ぽつりと「写真と、ちょっと違うね」と言った。
改めて見てみると、確かにメニュー写真から想像していたボリュームや印象とは少し違っている。価格は1680円。税金入れて1900円弱。外税表記だったことにも少し驚いたけれど、それ以上に気になったのは、「この金額に対して、私は今日の体験に納得できているだろうか」ということだった。
考えるまでもなく、答えは「NO」
料理の内容だけなら、好みの違いで済むかもしれない。ただ今回は、席の案内、モバイルオーダー、水、おしぼり、そして飲み物の対応まで、小さな違和感が何度も続いていた。その積み重ねを含めて考えると、「また来よう」という気持ちにはならなかった。
帰り道、少し冷静になって考えてみた。もしかすると、私の感覚が古いのかもしれない。モバイルオーダーは当たり前になり、水がセルフサービスの店も増えたし、おしぼりを出さない店も珍しくない。昔と同じサービスを求めること自体が、時代に合わなくなっている可能性もある。
けれど、しばらく考えているうちに、やはり違う気もしてきた。
サービスの形が変わることと、サービスの質が下がることは、同じではない。
セルフサービスなら、最初にそう伝えればいい。モバイルオーダーを使うなら、紙メニューと表示内容をそろえておけばいい。注文を間違えたなら、「確認してきます」と一言添えればいい。
どれも、昔ながらの過剰な接客を求めているわけではない。ほんの少し、相手がどこで迷うか、どこで不安になるかを想像するだけのことだと思う。
そして、ここまで考えて初めて、その話が自分自身に返ってきた。
私は自分でもサービス業をしている。業種はまったく違うけれど、「お客様がこの金額なら納得できると思える時間を提供できているか」という点では同じだ。
こちらでは当たり前だと思っていることを、お客様にも当然わかるものとして扱っていないだろうか。説明が足りないまま、わかってもらえる前提で進めていないだろうか。自分では些細なことだと思っている部分が、実は相手にとって大きな違和感になっていないだろうか。
スタッフの対応には、その店がサービス提供をどう考えているのかが表れる。そして一人で仕事をしている私の場合は、良くも悪くも、そのすべてが自分自身に返ってくる。
ちょっと残念なランチだった。
ただ、自分の仕事を見直すきっかけになったという意味では、思いのほか学ぶことの多い時間だったのかもしれない。
そして、その日のランチは別の話につながった
そんな話をしているうちに、友達がふと思い出したように、20年ほど前の出来事を話し始めた。
地下街に期間限定で出ていた店で、死海の塩を使った頭皮ケアを体験したことがあるという。それが驚くほどスッキリして、あまりに印象が強かったため、その後は夏になるたびにリピートしていたらしい。
ところが、ある年からその店が見つからなくなった。そこで友達は、手元に残っていたパッケージを頼りに調べ、製造元へ電話までしたそうだ。
そのとき教えてもらったのが、熱海にある場所だった。
そこでは、効果的な使い方を教えてもらえたり、実際に試したりすることもできるらしい。
そこまで聞いたところで、私の中の仕事モードが静かに動き始めた。
ちょうど今、サロンの軸を脳疲労解消のヘッドスパ中心へ少しずつ移している。そんな時期に、頭皮に使う死海の塩の話を聞いたうえ、しかも20年前の体験を今でも覚えているほどの使用感だったと言われれば、単なる昔話として聞き流すことはできなかった。
「もしかしたら、サロンでも何か使える可能性があるかもしれない」
そんなことを考えながら、続きを聞いていた。
帰宅してから、友達に教えてもらったURLを自分でも調べてみた。ただ、調べれば調べるほど、すぐに判断できる状況ではないこともわかってきた。
問い合わせページの冒頭には、「大変申し訳ございません。只今ご予約を受け付けておりません。」という表示があり、掲載されている情報には2017年のものもある。現在も体験できるのかどうか、はっきりしない部分が残っていた。
それに、友達一人の体験談だけで決めるわけにもいかない。
20年前の体験を今でも鮮明に覚えている。それだけ印象が強かったことには十分説得力があると思う。でも、自分のサロンで扱う可能性を考えるなら、私はやはり一度、自分自身で確かめたい。
実際の使い心地はどうなのか。頭皮にはどんな感覚があるのか。そして何より、今のお客様に本当に必要なものなのか。
そこまで確認して初めて、「取り入れる価値があるか」を考えられると思っている。
だから、熱海に行くかどうかはまだ決めていない。問い合わせてみるかもしれないし、実際に足を運ぶかもしれない。調べた結果、何も起こらない可能性もある。
でも、それはそれでいい。
続きは、実際に動いてから書こうと思う。
※お店の特定につながる情報は意図的に省いています。
