深夜3時に出発した浜松旅行。空腹のない2泊3日で気づいたこと

旅・おでかけ

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出発は深夜3時だった。旅に出るのに、なぜ深夜3時なのか。理由は3つある。いつもの渋滞ポイントを回避できること、高速の深夜料金が適用されること、そして——富士山の朝焼けが見られること。この3つが重なる時間帯が、ちょうど深夜3時出発になる。

旅は目的地に着いてから始まるわけではない。どの道を選んで、どの時間に動くか。その選択の中にも、すでに旅の楽しさが始まっている気がする。

富士川SAで、富士山を見た

富士川SAで休憩を取ったとき、空がちょうど焼け始めていた。ピンクとオレンジが混ざり合う空の中に、富士山のシルエットがくっきりと浮かんでいる。深夜に出発した甲斐があった、と思った瞬間だった。

富士川SAは、富士山が大きく綺麗に見えるSAとして知られている。東名を走るときは必ず立ち寄るSAのひとつだ。朝焼けのタイミングで来られたのは、深夜出発ならではの特権だった。

静岡県最南端の岬と、龍神の池

浜松に向かう途中、石廊崎に立ち寄った。静岡県最南端の岬だ。標柱に「静岡県最南端の岬」と刻まれているのを見て、なんとなく嬉しくなった。最南端とか最北端とか、端っこにはどこか人を引き寄せる力がある気がする。

池宮神社にも足を運んだ。桜ケ池という龍神が宿るとされる池を御神体とする神社で、平安時代から信仰を集めてきた場所らしい。静かな水面と、それを取り囲む深い緑の中にいると、時間の流れが少し変わるような感覚があった。

治一郎のバームクーヘンを、整理券でゲットした

今回の旅の目的のひとつが、治一郎のバームクーヘンだった。浜松にあるヤタロウのアウトレットストアで、わけあり品が手頃な価格で手に入ると聞いていた。

開店30分前から整理券の配布が始まる。開店20分前に着いたら、すでに列があった。整理券をもらって、順番が来るまで駐車場の車の中で待機する流れだ。無事にバームクーヘンの丸ごと端っこを2個ゲットできた。

最終日にも再び立ち寄ったが、その時間には治一郎はカットされたものしか残っていなかった。割引商品の種類も朝一と比べると明らかに少ない。朝一番に整理券を取る、というのはどうやら正解だったようだ。

浜松まで行けない方は、オンラインでも購入できる。


治一郎のバウムクーヘン

中田島砂丘。上り切ったけど、降りなかった

中田島砂丘は、想像していたよりも広かった。砂丘というと鳥取のイメージが強いけれど、浜松にもこれだけの砂丘があることを初めて知った。

サンダルで歩いたら、サンダルのすき間から真夏の熱砂がどんどん入ってくる。砂地の上り坂はふかふかしていて歩きにくく、思った以上に体力を使う。それでも上り切った。

頂上から水辺が見えたが、降りていこうとは思わなかった。理由はシンプルで、降りたら今度は砂の坂を上って戻らないといけないからだ。あと20年若かったら迷わず降りていたと思う。今の自分には、上り切ったことで十分だった。それも、正直な旅の記録だと思っている。

台風の影響なのか、波がかなり荒かった。強風の中で砂浜に立っていると、自然の力をじかに感じる。そして砂丘を出たところに「足洗い場」が設置されていた。砂丘を歩いた後の足に砂がたっぷりついているのは当然で、それをちゃんと想定した設計になっている。さすがだと思った。

半身で食べられる、うなぎを探した

二人とも小食なので、うなぎは「半身で食べられるお店」という条件で探した。「鰻屋 うな綴」に行き着いた。愛知県産のニホンウナギを使い、秘伝のタレで仕上げるお店だ。

半身でも、うなぎの旨みは十分に伝わってきた。浜松でうなぎを食べる、という目的はちゃんと果たせた。量より質で満足できる食べ方が、今の旅のスタイルに合っている気がする。

浜松餃子の元祖と、海鮮丼と

石松餃子は「浜松餃子の元祖」を名乗る創業昭和28年の店だ。キャベツたっぷりのあっさり系焼き餃子と、スープに浮かぶ水餃子を食べた。宇都宮出身の私にとって、餃子は身近な食べ物だ。浜松餃子は宇都宮餃子と何が違うのか、食べ比べてみたかった。

一番の違いはキャベツの量と、あっさりした後味だった。どちらが優れているという話ではなく、土地によって餃子の個性が違う。同じ「餃子」という名前でも、それぞれの文化がある。

のっけ家の特選海鮮丼(2,100円)も食べた。本鮪・雲丹・いくら・海老が一度に揃う丼で、港町ならではの贅沢さがあった。海鮮丼は土地によって使う魚が変わる。その土地の海が丼の中に見える気がして、旅先での楽しみのひとつになっている。

うなぎパイ工場見学。試食はなかった

最終日、春華堂のうなぎパイ工場見学へ立ち寄った。工場の定休日の関係で、最終日に行くことにしていた。予約は必要なく、飛び込みで見学できる。申込用紙に記入するとミニうなぎパイがもらえた。見学料は無料だ。

正直なところ、試食や割れうなぎパイのアウトレットがあると思っていた。どちらもなかった。その期待は外れたけれど、工場見学として見ると面白い発見があった。

うなぎパイの美味しさの秘訣は、人が練り上げる生地にあるそうだ。それ以外の工程はほぼオートメーション化されていて、ラインが淡々と動いている。ただ、要所要所には人が立っていて、チェックをしている。

その光景を見ながら、少し切なくなった。衛生面や人件費を考えれば自動化が進むのは仕方ない。でも、どんどん人の働く場所が機械に置き換わっていく。工場見学でそういうことを考えるとは思っていなかった。美味しいものが作られている場所で、同時にそんなことを感じた。

浜松城に入れなかったことで、新しい扉が開いた

浜松城に立ち寄ったが、閉館時間を過ぎていて中には入れなかった。外から眺めるだけになった。

これまでも旅先でお城があれば立ち寄って、登れるタイミングがあれば天守閣に上るようにしてきた。ただ「続日本100名城」という言葉は、この日まで知らなかった。日本100名城と、続日本100名城。合わせると200城になる。

日本には47都道府県があるから、1県に複数のお城がある計算になる。大名が変わるたびに新しい城が作られてきた歴史が、その数の多さに反映されているのかもしれない。200城を全部制覇したいという気持ちが、不意に湧いてきた。旅先で新しい概念を知ることで、次の旅の動機が生まれていく。

常に何かを食べていた2泊3日

浜松は、食べるものに困らない街だった。うなぎ、餃子、海鮮、バームクーヘン。食の目的地が複数あると、旅の密度が自然と上がる。気づいたら、この旅ずっと空腹の時間がなかった。

食べることは旅の大きな部分を占めている。同じものでも、その土地で食べると味が違って感じられる。浜松のうなぎを浜松で食べるから意味があるし、石松餃子を浜松で食べるから宇都宮との違いがわかる。食は、旅の記憶と一番強く結びつく体験だと思う。

次に浜松へ来るときは、浜松城が開いている時間に訪れたい。そして続日本100名城のスタンプを押すところから始めようと思っている。入れなかった城が、次の旅の出発点になった。

※本記事に記載している店舗情報・施設情報・料金は執筆時点のものです。お出かけ前に各施設の公式サイトでご確認ください。

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